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文化と通貨

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仮想通貨が謎の盛り上がりをしていることはニュースでもよく取り上げられるようになった。

自分自身がビットコインはもちろんだがそれ以外の仮想通貨も買っている。

 

まぁ現在のところは、通貨として「物と交換する」という価値よりも「投機」としての価値と見てみんな仮想通貨を買っている。

別にこれは健全で、いずれかはこのバブルははじける。

今は需要と供給の均衡点にいないから大きく変動しているが、やがて漸近的に落ち着いてくる。そうしたときに、通貨としての意味合いが大きくなってくるでしょう。

 

ただ、ほとんどの人が想像していたよりも早いスピードでその価値が上がっていくから驚く。だからバブルがはじけるのも想像より早いだろう。

 

さて、「投機」という概念では「通貨」としての価値はほとんどない。株やFXと何ら変わりないので。(税種が違うのはあるけど)

仮想通貨の真価は、円やドルに頼らないことだと思っている。

なので、それはバブルがはじけてからの話。

 

現在は、1BTC=1○○万円、とかで計算されるしそれを基準にしている。

結局は、仮想通貨が円やドルと交換できるから、仮想通貨に価値が出ている。

もし突然、日本政府が「円とBTCは交換できなくなります」と言ったらどうだろうか。

BTCの価値は、少なくとも日本ではなくなるだろう。

 

つまり、円やドルといった既存の通貨システムが安定しているからこそ、投機目的として機能している。

仮想通貨は既存の通貨概念を壊すものではなく、それに依存している。

円やドルに変換できるからこそ、価値が存在している。

 

今は1BTC=1○○万円とかいわれるけど、

将来は1円=0.〇〇BTCですね、と言われると面白い。

つまり、既存の通貨との基準価値が逆転すると。

仮想通貨を持つことが前提となり、「え?まだ円なんて持ってるの?あんなの怪しいからやめとけよ」と言い合うような、現在と逆転する世界がくるかもしれない。来ないかもしれない。

 

じゃあなんでこんなに国際通貨が安定して信頼されているかというと、色々な人が頑張っているからなんですよね。流通量を決めたりとか。

逆にジンバブエドルっていう意味わからないぐらいインフレした通貨みたいなのがあった、安定できなかったもので。100兆ジンバブエドル札とかあったぐらいだから(ひどい話だけど)。

 

ところでBTCの取引の45%は日本で行われているとかいうデータがあるけど、基本的に日本人は現金が好きだ。

お店でのクレジットカード対応店の割合が、展開している国の中で最下位という。

Suicaとかは割と浸透してきたけど。(個人的に馴染みがあるのはPitapaICOCA)

 

でも近くの中国では日本よりも電子決済が浸透しているし、もう現金を持ち歩くことの方が珍しい社会らしい。現金を持ち歩かなくても生活できる社会になっている。

さすがに財布に全く日本円を持ち歩いていない人はほとんどいないだろう。

なんで中国ではそうなったかというと、文化の違いが結構ある。

そもそも中国ではニセ札が当然のようにあるから、現金が信じられないのだ。現金よりも、電子決済のほうが信頼できる。だから都会に限らず、田舎でも電子決済できるらしい。

基本的に思考が性悪説というのもあるだろう。例えば中国版食べログは、ドタキャンや無断キャンセルをされてもいいように客が店に前払いを電子決済でしなければ予約できない。

 

日本ではそんなニセ札が出回らないし、現金の安心感は強い。それにお客様第一という思想が強すぎて、予約の時に事前にお金を払うなんてことはありえないでしょう。客の力が強すぎてクレームが入る。日本は性善説的だ。「予約したんだから来るでしょう」が前提な。

それがいいのか悪いのかはわからないが、現金に関しては中国よりも日本の方がよいはずだ。だからこそ、技術の進歩が遅れる。

マルクスは、未発達国(封建国家)→発達した資本主義国家→社会主義国家 の順に、社会主義になるプロセスは進化論的な流れで移行すると考えた。それが結果として違ってしまったのは歴史を見ればわかるのだが(搾取された側の弱い植民地の方で変遷が起きた)、通貨のテクノロジーというのもこのようだ。

大前提としてそもそも文化によい悪いはないのだが、結果的にあまりよくない環境だからこそ次のフェーズに進む、進歩するというのは間違いなく存在する。

そして通貨を形作っているのは間違いなく文明・文化であり、これを無視することは避けられない。通貨は人間たちの手によって人工的に作られたものであり、物々交換の基本ルールなのだから。

 

そんな文化的な側面もあり、日本人は現金が好きだし日本円が好きだ。だから日本円で貯金もたくさんする(日本人は貯金好き)。たくさん聞いてきたが、財産を不動産や株など他のもので保持する傾向が欧米より少ないのは明白だ。

「将来が不安だから貯金する」という思考で貯金する人が結構多くいて、これは「将来が不安だから、年金など将来の日本が信用できないから」という一見性悪説っぽいのだが、言い換えてみると「将来も円の価値が担保されているはず(だから貯金すれば将来大丈夫)」という性善説とも読み取れる。多分貯金している人の何割かはそれに気づいていないけど。

円が好きなのはその価値が担保されているからであり、ある日突然「売られている商品の値段を100倍にして給料もこれから100倍にします」となるのは考えにくいが、もしそうなったら今まで日本円で蓄えていた貯金の価値は実質100分の1になる。(100万円貯めていても、今後は1万円分のものしか交換できないから。)

通貨というのは非常に面白い概念で、考えれば考えるほど楽しい。今後の既存通貨の概念や、仮想通貨がどうなっていくのかは注目していきたい。