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文系院生の生態と考察ーフィールドワークをふまえてー

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1.はじめに

このレポートは、文系大学院生がどのような生活を送っているか、どのような考えを持っているかの分析ならびに彼らの主体性の考察についてまとめたものである。

なお、今回の調査対象とした文系大学院は、主にM(マスター)・修士院生が対象である。

 

2.本レポートの意義について

現在日本社会では、大学院生に進むもの=理系、もしくは文系では法科大学院等の専門的な分野でさらに勉強をしているというイメージが強い。

「普通の」文系は学部で出て就職するのが当然な流れとなっている。

全国放送のドラマ「逃げ恥」でも、文系の大学院生は就職ができないというようなイメージを与えている。

先行研究(過去記事)

jmath.hatenablog.com

今回は、そんな「普通の」文系が大学院に進んだらどんな生活をしているのか、就職は・・・という部分に着目した。この点は研究があまり進んでいない。そこにこのレポートの意義があるといえる。

 

3.文系院生の生活過程分析

・学部生と同様に、単位を取らなければいけない。ただしハードルはものすごく低い。マスターなら、1年目で論文以外の単位はたいてい揃えられる。

・研究は、理系に多い教授からテーマを与えられるパターンもあれば、自分でテーマを決めてやるパターンもある。どちらにせよ理系よりかは楽な傾向にある。

・学会もよく行っている。学会で発表することを条件にした奨学金とかある。

・「院生室」や「研究室」がメインスペースとなる。研究環境は学部生に比べてものすごくよくなる。

・中間発表などが近づいてくると、「やばいやばい何もやっていないどうしよう」という謎の呪文があちこちから聞こえてくる。誰かを召喚するのかな?その割にはみんなクオリティは高い。「ファッションやばい」である。

・ゼミ等で学部生と一緒になることもあるが、基本的に院生は院生のコミュニティに属している。

バイトは普通の大学生と変わらない。大学内のバイトが多いくらいか。

・就職は、公務員や教員志望がやや高いといえる。まぁそれらなら特段不利にはならないので。

・むしろ、教員の専修免許は修士で単位を取らないともらえない。

・免許・資格の都合上、心理系や教育系の学生の比率が高いといえる。

 

4.文系院生の社会意識分析

・正直に言って、「逃げ恥」のみくりさんのような小賢しい人が多い。

・「同期は就職したり結婚もしているのに、自分は何してるんだろう」と大半の人がどこかで思っている。

・「レールから外れたコンプレックス」を持っている人が一定数存在する。

・遊んでいたりして授業に真面目に出ない学生をとにかく否定する。そういう人ほど知名度のある会社に行くので、なおさら嫌味を言っている。

・「大学に何しに来てるの」と言う。別に理由なんてなんでもいいのにとは言わないこと。

・芸術信仰が強め。逆に資本主義やビジネスには拒否反応を示す。

・言っても何も解決しないことを、あえて言ってストレスを発散させる傾向にある。

・「自分たちはダメな人間だ」と一方で思いつつも、違う部分で「社会が悪い」「不平等だ」と社会のせいにもする。

・「自分たちは不適合者だ」「負け組」と一方で思いつつも、遊んでいる学生をどこか見下している。何かと上から目線で、プライドは高い。

・進路だが、修士と博士ではさらに一段階就職へのハードルが上がってしまうため、博士進学はほんの一部。それと、博士を出るためにはかなりハードルが高い。修士まではぬるいが、博士を3年で出るのは困難であることも要因である。

 

 5.考察

文系院生はレールから外れていて大半の人と違う道を進んでいる。そういう環境が、「オンリーワン」という一種のプライドを形成していると言えるだろう。

そして、そのレールから外れてやり場に困るわけである。そこで、社会のせいにしたり、遊んでいて勝ち組になるやつを否定する傾向になっていく。環境が形成した主体性といえるだろう。

自ら「不適合者だ」と言っているが、本心では「適合者」であると思っている・望んでいるわけである。実は真の意味では不適合者であるといえる。

柔軟性がなく、頑固な傾向にある。だからレールを外れてしまったわけだが。勉強のしすぎで頭でっかちになったというのが正直なところだろう。知識をつけると、その知識にとらわれて素直に受け止められなくなる。もちろんだが、筆者にもこれは当てはまる。

文系院生がどうやって社会を変えていくのか、今後も注目していきたい。