以前のエントリ
これで、「理論的・合理的なものが人間の感情に刺さるとは限らない」と考えたのだけど、じゃあ人間の感情に刺さるものって何だ?とずっと考えている。
人間にとって、絶対的な「正義」の感情ってあるのか。
それはわからない。
でも、少なくとも近代の世界システム、とりわけ「現代」において、基本的に「善」と思われていることはなんとなくある。普段はあまり気にしないけど。
それがわかれば、人の感情を動かせるのではないか?との仮説に基づき、考える。
動機が不純すぎる!!
「善」と「正義」として、メモしておく。科学的では説明できないこと中心。
現代の「正義」メモ
①動物愛護・自然保護
この前ゼミで、「動物愛護運動は19c以降のものだよ」という論文の発表があった。
自分の周りのペットとかが尊いのは昔からだと思うが、ちゃんとした「一般的な動物の権利」を守る集団の運動はここ200年くらいの常識・概念らしい。
自然保護とか、環境とかもそうだ。「環境にいい」は今や無条件にいいと置き換えられるレベル。でも日本も高度経済成長の公害までは絶対そんなこと思っていなかったでしょ。
②家族愛・ぬくもり
お母さんの味噌汁が、お店のやつよりおいしいとか、家庭の味とか。
それって、一般的に家族愛で素晴らしいっていう風潮がある。
これは心理学の刷り込みで説明できるのかもしれないけど。
「家庭の味=善」、「大量生産=悪」みたいな感じはある。
③個人店、商店街
大手チェーンが流通するにつれて、古くからの個人店や商店街こそ人とのつながりがすばらしい!という風潮がする。
「こじんまりしたお店の総菜はおいしい」「チェーンスーパーは添加物が入っていてよくない」みたいな。
④純愛
これは最近、近代以降の概念だろう。自由恋愛がなくて結婚相手があらかじめ決まっていた時代にはありえない。
一夫一婦制が当然で、逆に芸能人が不倫すると話題になるからね。
そんな制度もまたここ数百年の話なんだし、かといって「私アラブの石油王の4番目の妻になりたい」みたいな冗談?もたまに聞くんだけど、矛盾はないんだろう。
これもまた、雇用という契約の社会に限っての常識。
むやみに働かせる企業=ブラック
労働者に沿った制度の企業=ホワイト、みたいな。
ネット上では異様なほどにホワイト企業を評価しているから、個人的には逆に気持ち悪いんだけど、一般的な人間の感情には刺さるんだろう。
⑥努力
才能で成り上がった人=悪、努力をして成り上がった人=善 みたいな風潮ない??
ストリートミュージシャンの研究をしているけど、彼らは「努力は報われる」「だから前を踏み出そう」みたいな歌詞がめちゃくちゃ多い。
⑦平等
努力の続きだけど、なんで才能やコネ(○○の息子、など)がよく思われないかって、「スタートラインが違うじゃん」なんだよね。あと、自分にそれがないのを認められないんだろう。
つまり、同じスタートラインを望む。平等を求めているわけだ。
同じスタートラインから努力したら、賞賛される。だから努力型は感情を動かすのかもしれない。
男女平等、一票の格差、最低賃金・・・とりあえず、人間は「不利に立たされていること」を嫌い、平等を好む傾向にある。(今や常識の一人一票も、大正デモクラシーの時だから100年もない歴史だね、しかもその時は男性だけだし)
「人間として生まれたら人権がある」という前提に成り立っているんじゃないか(あんまり詳しくないですが)。
⑧助け合い
災害でのボランティアなんかは、完全に非合理的だ。
でもその「非合理さ」という「助け合いの精神」が共感を呼ぶ。
人命救助が大きくニュースになるのもそうだ。
それを叩く人なんてまずいない。
⑨多様性
平等に近いかもしれない。
外国人を差別しないとか、文化を受け入れるとか。
最近なら、LGBTもそうだ。
障がい者だって同じく。
依然として「差別」があるからこそ、「多様性を受け入れるべき」という論調が溢れる。
多文化共生。異文化理解。
それへのアンチが、ヘイトスピーチ。
⑩平和
これは現代の日本だけかもしれない。
平和で戦争のない時代なんてないに等しくて、ずっと昔から人類は戦争を繰り返してきたわけだけど。
右翼だって、(少なくとも建前は)抑止力として軍を主張しているだけで、戦争を未然に防ぎたいという思考だ。
深い意味はいろいろ解釈が違うが、みんな「平和」を好む。
☆おわりに
以上です。
現代の「正義」を発見したら、随時追加メモしていこう。
取り上げたやつは一部賛否両論あるけど、マジョリティは「正義」と感じる概念ではないだろうか。
そして気づいてしまった。
「かわいい」の概念は時代によって変わっているけど、
あながち人間の普遍的・本質的な正義じゃないんかって思ったのであった。