前回、対案なき批判はあまりよく思われないのでやる意味がないという話をした。
じゃあ、対案があればいいのか?というと、その対案にも大きく2つに別れる。
1つめは、絶対に叶いそうにない、実現性の薄い案。
2つめは、現実・実際を鑑みてロジックのある案。
そう、対案と言っても、1つめしか出せない人もまた、あまり評価されない。
いつも考えている後輩
それなりに悩みを聞く後輩がいる。
だいたいは、クリティカルな問題に気づくことができる。それが彼の長所である。
組織の問題、彼の上長に当たるマネージャーの問題、プロダクトの問題・・・
そして、それが今のままでは悪いこともわかっている。
営業の問題、企画の問題、彼が担当している事業について、彼なりに考えている。
その考えを聞いた後に、だいたいいつも自分はこう聞く。
「じゃあ、どうやって解決するの?」
そうすると、こんな感じ。
「営業が、もっと本質的な価値を提案できるようになるべきです」
一見普通?に見えるが、Howを聞いているのに、ずっとWhatしか返ってこない。
そのWhatは当然大事で、それすら思いつかないよりかは全然いいのだが、Whatを言って勝手にHowを実行できる人間などまずいない。
Whatしかないと、肌触り感がまるでない。
「環境問題どうやって解決するの?」
「今から全世界で火力エネルギーをなくせばいいです」
じゃあどうやって?や、エネルギー足りないけどどうするの?どこかから補充するのか、我慢するのか。我慢する場合は、各国はどうやって国民にそれを伝えるのか?
そうした、エグゼキューションの細部がなければ、理想論を語っているだけだなと思われかねない。
コンサルの世界であれば、Whatを提供することも一定価値がある。
だが、事業会社では、実行実現のない提案は意味をなさないし、評論家もいらない。
どうやってこの問題自体を解決するのか
もし、こうしたWhatだけ言ってHowが言えない場合は、どうやってそのHowを見つけるのか。
それは大きく2つあって、
・そもそもHowのバリエーションを知らない
・現実的なHowがわからない
のどちらか、もしくは両方の場合になる。
そもそもHowのバリエーションを知らない場合は、本やネットの情報で参考にしていくのが良い。
例えば、下記ぐらいの粒度であれば、ネットで調べて、必要であれば本を読めば数パターンは身についていく。
・キャッシュレス決済はどうやって多数のお店に導入されたのか?
・営業が弱いことが経営課題だった会社は、どうやって強くしたのか?
・マネジメントの手法は?
現実的なHowがわからないのは、理想はわかるが「現実」がわからない場合になる。
その場合は、自社や周囲のチーム、周囲の人のことがわかっていない場合が多い。
例えば、営業を動かすにも、その営業のチームや、営業のマネージャーへは何を言えば課題が響くのか?何の情報を言えば協力してくれるか?など。
それは外部情報で一部参考になることもあるが、基本的には当事者やその周辺の人にヒアリングをかけて、仮説を作っていく動きになるだろう。
その人や、チームが大事にしている価値観を知ることが大切だ。
例えば、1つの企画でも、アピールするポイントは変わる。
・目標達成に強い意識がある→目標達成できることに重点を置く
・スキル成長を大事にしている→違うスキルが身に付くことをアピール
・人脈やネットワークを大切にしている→幅広い、新しい人脈が増えることをアピール
などなど・・・
トリガーをしっかりと見つけて、訴求するというのはマーケティングや社外への営業と何ら変わりない。
改めてになるが、問題解決は
・問題を把握する
・対案を考える
・それを、現実的に動かせるようなHowを作り、実行する
という順番になる。
今回の後輩のケースは、最後だけがまだあまりできていない場合であった。
Howを鍛えるには、
・Howのバリエーションをインプットすること
・現場から、最適なHowは何かを検討すること、そしてアウトプットすること
になる。