新規事業創出・・・
多くの企業がやろうとしていることだ。
そりゃそうだ、リスクが少なく、キャッシュを得られる機会があれば
経営的観点から、やりたいに決まっている。
しかも、M&Aするよりも圧倒的にコストが低いのだからね。
(翻訳風語尾)
学生のインターンの時から、無駄に一丁前に考える機会のあった、
新規事業。
それを考えるポイントについて整理しようと思う。
ざっくりと結論を言えば、フレームワークは3Cを使うのがよい。
市場
市場が伸びているかどうか?また、ポジティブな環境か?というところだ。
いくら魅力のある、競合に負けないサービスを考えても、
ユーザーがそもそもいなければ事業をやる意味がないからだ。
市場というのも、セグメントで切れればなおよし。
例えば有名なので言うと、インターネット広告の市場全体が伸びているが
その中でも、広告の形態や静止画/動画などのセグメントに切った場合、
伸びているものとそうでないものに分かれていたりする。
ネット広告の一部分の参入を決めるにあたり、ネット市場全体の
話をしてもしょうがない。
下記の図は、ネット広告の1つのセグメントであるモバイル/PCそれぞれの
推移である。
内訳として、モバイル広告は伸びているが、デスクトップ広告は伸びていない。
ポジティブな環境かどうか?という点では経済面だけではない。
政策により、金利が下がるとローンを組みやすくなり
車や不動産が買いやすくなる。
かなりネガティブである。
こういう風に、外部環境の分析をする時はフレームワークとしてPESTを
用いるとわかりやすい。
P:Politics
E:Economy
S:Society
T:Technology
競合
これはイメージしやすいであろう。
インスタなど流行っていて、これからSNS事業に参入しよう!としても
え、、大丈夫かな。と思うのは
Facebook・Twitter・Instagramといった既存プレイヤーがしのぎを削っている
からである。
彼らとの差別化・さらには競争優位性を作れるか?また作れるとしたら
どのポイントか?を研究しておく必要がある。
競合が全くいないサービスなんて基本的にないので、
競合がいないので勝てます、という理論は研究不足なだけである。
自社
市場が伸びていて、競合にも絶対勝てるビールを作れる!
となっても、ビールの生産できる手段を持っていないと、参入ができない。
という意味で、アセットも含めた自社環境の観点も必要になる。
自社のアセットと、新規事業に割けるリソースの事情だ。
ロジカルに考えると、3Cの要素を合わせて、
全てが〇になるものを新規事業としてやるべきである。
SWOT分析を使うという手法もあるが、結論だいたい変わらないのと
SWOT分析の場合、機会と脅威が受け取り手によって変わる可能性があるため
難しいと感じる。判断が必要となるため。
例えば、消費税が10%になるという政治的変化がある場合に、
消費税が上がるから購入頻度が下がると解釈すると脅威に聞こえるし、
消費増税の影響で安い商品の競争力が上がると解釈すると機会に聞こえてしまう。
この場合は、PEST分析のPに「消費税が増える」という「事象」だけを
入れてしまい、「解釈」とは別にする方が個人的にはスッキリする。
さて、「ロジカルに考えると」3Cで考えて素早く実行したほうがいいが
それだけではいかない問題が現実的にはやってくる。
で、誰がやるの?本気でやれるの?
自社の観点で、誰がやったらいけそうかまで言及するケースもあると思うが
基本的には、誰がやっても同じ結果になるのが望ましい。
だが、現実は誰がやるかで結果は変わる。
スキル面はもちろんのこと、スキルがあっても
その新規事業に思い入れがなく、本気でやれない人がやっても仕方ない。
所詮、社内の新規事業なので、役員以外はサラリーマンがやるわけである。
経営者じゃない温室育ちの人が、その環境下でどれだけ本気で
やれるのだろうか。
金銭的インセンティブはもちろん、精神的インセンティブもないと
多分やらない。私はよくわからんけど無意識に手を動かしていたが
やっぱり、社員が考案した新規事業であれば考案した社員が
思い切って、意思を持って進めることができるのでそれがよい。
インセンティブ設計はもちろん。
これがスタートアップの1つ目のプロダクトだったら、お金もなく
人もいない状態で、死に物狂いでやってくる。
サラリーマンに、それに近いような環境を作れるかどうかが大事な気がする。
もしうまくいかなかったらどうするの?
散々議論して一度やろうと決定してスタートさせても、
それでもびっくりするぐらいうまくいかないケースもたくさん見てきた。
それは、だいたいは分析の見通しが甘いケースなんだけど、
考案当初は思いもよらなかったニーズの違いや競合の戦略、みたいなのが
新規事業としてスタートして、営業し出してからわかったりするものだ。
それはもう、ドライに撤退ラインを決めるしかない。
数か月後までに、あるKPIに満たなかったり、大きく乖離したら撤退と
事前に決めておいて、あとはやり切る。
それでうまくいかなかったら、投資をやめて別のところに
リソースを再分配する。それだけのことだ。
企業からすれば、儲けすぎたときの税金対策以外の観点では、
黒字化できる見込みのないような赤字事業を続ける意味はない。
こういうシビアなこともあるが、新規事業をやりたいと思っている人は
間違いなく、経営者からは新規事業やりたいというニーズがあるので
上記のような視点で考えて、提案してみてほしい。
もちろん提案がうまくいかない場合もあるし、うまくいっても
実際やってみて撤退することも普通にある。
ただ、それで給料がなくなったり倒産する可能性は極めて低い。
なので、温室育ちの環境を活かして何度でも挑戦すればよい。
それが、0からの起業とは違う、
サラリーマンで新規事業に挑戦するメリットの1つである。