さかなとかえる

徒然なるままに

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格差はなくならない。

階級、格差、貧困。

こんなトピックで賑わっている日本。

 

どこかで主張・論争が起きている。

その多くの論理は

「格差がひどい」

「人間なんだから平等であるべきでは」みたいな主張だ。

そしてこれが正義で、格差万歳なんて言ったら非人間的、冷たい奴と思われるというのが通常であろう。

少なくとも感情としては、「貧困は個人の自己責任だ」よりも「貧困は格差。社会のせい」という主張の方がよいものに感じる。

 

だけど、考えてみれば例えばコンビニチェーンで同じものが同じだけ揃えてありなおかつ安く売っているという状況は、コンビニ店員や工場の人件費・運送費を極力下げていることで実現できている。

日本にいれば世界屈指のいいサービスを提供してもらえる。

普段の生活をするにあたって、何気なくその安い労働力の恩恵を授かっているのだ。そんな人が格差とか貧困とか言っているんだけど、現在の便利さを捨ててまで主張することなんだろうか。。

 

まぁ産業革命とかの昔に比べたらそういうのは大分改善されているはずなんだけど、格差の発生源について考えてみる。

下の図は、階級移動についての考察。

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最初は黒線の階級・家庭環境にいた人々だが、そこでのお金の使い方・頑張り(能力)によっておおまかに3種類の生活の可能性があるように思う。

めちゃ頑張れたり、お金を貯めていると黄色の階級ラインに上がる。そのままだと黒。

ちょっと悪かったら青の階級ラインへ。

ここの分散に関しては、格差論者も異論はないだろう。格差論者の大半は「個人の頑張りは大事にすべきだが、そもそも生まれた環境で可能性が決まっているからそちらを是正すべき」なはずだ。

だがしかし、その人たちの子世代、第2世代では初めから生きているラインが異なってくる。当然第2世代もそれぞれ3種類(階級アップ/そのまま/階級ダウン)の可能性があると考えると、第1世代で同じラインの人々だったのが、第3世代では5つの階級になっていることが考えられる。

 

つまり何が言いたいか?一度シャッフルして格差をリセットしたところで、時間(世代)が経つに連れて格差は広がっていく。平等はひと時しか実現しない。個人の能力差や性格差がある限りにおいてだが。

ブルデューが主張した文化的再生産、階級の再生産だ。

 

この格差の発生・拡大を止めるには、次世代に遺産を相続できなくすることだろうか?

そうしたら、第1世代がどうであれ第2世代は黒線からのスタートになるのかな?

しかしそれは、「子ども生まれても国が一括管理するから、親は子育てに参加できないよ、親が子育てに参加したら親のレベルで子どもの格差が広がるから」と言っているようなものである。まず親の感情的に実現しないし、つまらない。親というのも子世代にとっての相続資産と言える。

 

じゃあ資本主義社会において格差は広がっていくのかといえば、そうでもない。

上位階級と下位階級の利害が一致する場合がある。

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上記の図?であるが、まぁ言えば「戦争」が格差の解決策になってくる。

上位階層は戦争して資本をもっと得ようと思う。また、国内だけだと搾取できる(=富を拡大できる)ところも、時間が経つにつれて飽和してくる。

逆に下位階層は、お金がなく苦しい環境になる。そうすると、政治はとても賢くて「格差を作った自分たちでなく、外国のせいにしよう!」となってくる。ファシズムだってそうだ、ISだってそうだ。東アジアの排外主義も、本当は国内事情が悪いから不満を外に向けているだけなんだ。

じゃあどうなるかというと、下位階層は戦争に巻き込まれていく。戦争に参加すれば安定した給料が得られるから、生活に困っている人は軍人になっていく。

今の日本の年金制度の元も、もとは軍隊さんへのインセンティブ(戦った後の生活も保障しますよという意味で)だったりしている。

そうなると上位階層と下位階層の利害が一致する。

(話はそれるけど、戦争なんてお金・資本が欲しいからやっているのであって、正義のためとか相手国が嫌いみたいな感情論はあくまで建前だ)

 

ピケティの『21世紀の資本』で、格差が縮小した時代というのは大戦時という分析がグラフとともに紹介されていた。

本の中で言う、r>gでない時期のことだけど。

戦争は、国内格差を埋める効力がある。

 

トランプさんが大統領選に勝った理由はまさしくこれである。

メキシコとの間に壁だとか、強いアメリカを作るとか、アメリカファーストとか。

下位階層は、アメリカ全体がよくなれば自分たちの生活もよくなると思っている。そのためなら諸外国なんてどうでもいいと。それは完全には正しくないが、完全に間違ってもいない。

 

自分は個人的には格差なんてなくならないだろうと思っている。格差の軽減は今の社会にもあるけど。完全にはなくならない。

少なくとも、人間に個性がある限りは。

みんなロボットみたいだったら、格差がない、ある意味で平和ないい社会になるんだろうけど。

格差はなくならないから何度もリセットされても、軽減されようと、時間が経つにつれて格差が広がっていく。本当に一番下の階級は生き残れずに淘汰されるかもしれない。そうしたら、生き残っている人たちで格差を考えていく。そして格差がひどくなると、外部要因のせいにして争いでリセットされるか、革命が起こってシャッフルされるか。

これからもそれを繰り返していくんだろうなぁ、と思うのだ。

格差があるから、今あなたの生活が成り立っていて、生きている(生かされている)といっても過言ではない。日々当然のように、格差の恩恵を受けているのだから。