考える鱒

モラトリアム文系院生のつぶやき

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読書めも:左ききのエレン①

左ききのエレン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

マンガはほとんど読んでいなかったのだけど、社内やTwitterでおススメされていたから読んでみた。

 

ジャンププラス版。なので単行本だとまだ1巻だけ。

 

メインテーマは「天才になれなかった全ての人へ」

(1話に入る前に前書き的な感じでこの言葉だけある)

 

1巻しか読んでいないのだが、既に名言が飛びすぎている。

このマンガこの後大丈夫なのか?

 

ストーリーを作っているのは、まさしく

「天才になれなかった全ての人へ」というテーマだ。

 

能力主義

資本主義

階級

格差

努力

生き方

そして、才能ー

 

1巻だけでも、この辺りがリアルに描かれている。

特に主人公の朝倉光一は美大を出て広告代理店のデザイナーとして働いている話なのだが、彼自身が天才でないが「ある程度それなり」に能力があるというのがリアリティがある。

彼は自分より才能がある人を見て、また時には同じように天才でなく一度諦めたが立ちはだかる。

 

少年漫画の代表格の週刊少年ジャンプは「友情」「努力」「勝利」を原則としているのだけど、ナルトやルフィなどはなんやかんや言って才能があるので新鮮だ。

(週刊少年ジャンプ的には、敵キャラもそれなりに才能があるので才能の違い、個性ということでまとめているのかもしれないが)

 

 なんやかんや、友達が少ない自分の周りにもいるから世の中たくさんいる。才能があるかは私からは判断できないけど、夢を追い続けている人。または、諦めた人。

大学を卒業してもアルバイトしながら、少年漫画家を目指して今もペンを走らせている学科の同期。

文系博士課程で研究者志望、自分が研究室に入る前から自分が出た後もマルクスをひたすら読んでいる同じゼミの先輩。

小さいころから音楽が好きだけど音楽で生きていくのを辞めて趣味でやっている学科の同期。なおそいつは今中学の先生で吹奏楽の顧問をやっているから本巻のあそこの部分でちょっと心に刺さった。

絵を描くのが好きだけど自分には向いていない、だからクリエイターのためのビジネスを提案して新規事業の責任者をしている会社の同期。

 

学生時代にインタビューした対象もそうだった。

「自分は音楽しかできない」と言って、毎日のように駅前で歌っていたストリートミュージシャン。それも何十人も。

ひたすらカヌーに熱中している人、起業という形でカフェを立ち上げた大学生。

 

なんだかんだ、この辺り全般の分野に自分は興味があるものの、その理由はいまだにわからないし、わかったとしても後付けでしかない。

 

マンガの感想になるが、個人的に高校時代のさゆりがむちゃくちゃ共感できた。

夢を追うのもほどほどに、安定して生きていくスタンスでドライな。

全般的に心をえぐられる。最初のプレゼンから辛い。

 

 

左ききのエレンは単行本のカバーに「これは大人のための少年漫画だ。」というフレーズがあるが、これは少年にこそ読むべきではないだろうか。

この本は別に能力主義や才能偏重を否定しているわけではないし、むしろ肯定的とさえ言える。葛藤の中で選択・適合していく様子をもっと見たいと感じた。

「天才になれなかった全ての人へ」=「夢でなく現実を見ろ」ということでなく、「現実はこのようだけどそれでも夢を見るか?」あるいは「それでも夢を追おう」というメッセージなのではないか。というのが1巻を読んだ今での予想なので、今後の展開に期待。